矯正治療をした後は「保定装置」と呼ばれているものを使用して後戻りを予防する必要があります。今回は矯正後の後戻りについて解説します。
矯正後の後戻りとその原因
矯正後の後戻りは治療前の歯並びに戻ってしまうことではなく、わずかな隙間ができたり、前歯がでこぼこしてきたりする状態のことを指します。この後戻りの原因は以下のようなことが挙げられます。
・保定装置をしていなかった
・舌で前歯を押す癖などがある
・適切な治療を受けていなかった
それぞれ詳しく解説します。
保定装置をしていなかった
後戻りの原因で最も多いのは保定装置をしていなかったためです。保定装置とはリテーナーとも呼ばれており、この装置は後戻りを予防するために使用します。矯正は歯の根っこと骨に付着している「歯根膜」と呼ばれている組織が伸縮して歯を動かします。矯正後はこの組織がまだ伸びている状態のため、保定装置を使用して固定する必要があるのです。
舌で前歯を押す癖などがある
舌で前歯を押す癖や口呼吸の癖がある方は後戻りしやすい傾向にあります。ただこれらの癖がある方に対して矯正歯科ではMFT(口腔筋機能療法)という訓練を矯正治療開始時と同時に行い、矯正終了までに改善を目指すことが多いです。
適切な治療を受けていなかった
これは本来なら抜歯が必要な矯正治療なのに非抜歯で行ったときや、重度の出っ歯などの症例で無理に歯を補正したときは後戻りしやすい傾向にあります。ただほとんどの歯科医院では矯正治療前にしっかり検査を行ってから治療計画をたてるためこのような場合は少ないと考えられます。もし治療に対して不安をお持ちであれば、矯正の専門医である矯正歯科などで受診すると良いでしょう。
後戻りの予防方法
原因が分かったところで後戻りの予防法を解説します。後戻りを予防するためには、保定装置を決められた期間装着することが大切です。矯正治療後の2~3年は保定装置を使用します。装着時間は半年間毎日24時間装着することが多く、その後は就寝時のみに移行します。また舌で前歯を押す癖や口呼吸がある方に対して矯正治療と同時に、MFT(口腔筋機能療法)を行いこれらの癖を改善して後戻りを予防します。なお矯正中も矯正後もメンテナンスは怠らないようにしましょう。メンテナンスではむし歯、歯周病の予防はもちろん歯並びのチェックを行うこともできます。
まとめ
矯正治療後は保定装置を決められた期間しっかり装着することで後戻りを予防します。矯正が終了して解放感があるかもしれませんが、装置の装着を怠らないようにすることが大切です。